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「例え条件がどうであれ、俺が承諾しなきゃ良いだけの話だ。という事で帰らせて貰うよ。じゃあな」
無理矢理手を離し、踵を返す。
追ってくる様子はない。その代わりに、どこまで続くか分からない廊下一杯に響き渡る大声で叫んできた。
「聞いてっ! 私の執事になった暁にはあなたの弟、市東博二の治療費及び入院費諸々全て保証する事を誓う……って言ったら?」
「……!」
衝撃の言葉は反響しながら俺を通り過ぎ、廊下の奥へと消えていった。
ゆっくりと振り返る。
距離を保ったまま、問い掛けた。
「……本当か、それ」
「うん。執事をやってくれるならね」
「本当の……本当に?」
「何回も言わせないでって何回言わせる気?」
まだ2回目だ、とか悠長にツッコミを入れてる場合じゃない。
――博二の全てを保証する、この真の意味を理解しているのか少女は。
俺には2つ下の弟、博二(ヒロシ)と、その1つ下の妹、亜里崋(アリカ)がいる。
こちらに歩み寄って来る少女は、とある事情で入院中である博二の医療に関する全てを賄ってくれるというのだ。
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