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恭は無愛想な俺を、クラスに馴染ませようと必死に話し掛けてくれた。普段は剽軽な態度だが、いざとなると頼りになる唯一の親友だ。
俺は帰宅部。恭は剣道部。
俺はバカ。恭もバカ。
俺はやや茶髪のツンツン。恭は黒髪丸坊主。
俺は切れ長の目。恭は円らかな目。
俺は無愛想。恭はフレンドリー。
と、共通点が少ないのに仲良くなったのは何故だろう。曰く、「峻は自分の魅力に気付いていない」らしいが……よく分からん。
「別にどうもしてないさ。じゃあな」
軽く返しておき、楽園ことマイハウスに入る。
俺が住んでいるのは、一軒家ではなくオンボロアパートの2階。特に事情は無いが、1人暮らしをしてみたかったからしている。実家はこっから近い。
「あ……夕飯の具材買ってねえや」
冷蔵庫の中身は空っぽに等しかった。今からでも買いに行くか……。
制服のまま、再び外に出る。
「……って、まだ居たのかよ!!」
「よっす!」
先程別れた恭が、階段先で天候の如く爽やかな笑顔と共に手を振っていた。暇なのかアイツも。
「お前はきっと出てくるって信じてた!」
「どんな信頼だよ」
その勘を勉強に活かせ。
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