何故俺は……

4/12
前へ
/116ページ
次へ
恭は無愛想な俺を、クラスに馴染ませようと必死に話し掛けてくれた。普段は剽軽な態度だが、いざとなると頼りになる唯一の親友だ。 俺は帰宅部。恭は剣道部。 俺はバカ。恭もバカ。 俺はやや茶髪のツンツン。恭は黒髪丸坊主。 俺は切れ長の目。恭は円らかな目。 俺は無愛想。恭はフレンドリー。 と、共通点が少ないのに仲良くなったのは何故だろう。曰く、「峻は自分の魅力に気付いていない」らしいが……よく分からん。 「別にどうもしてないさ。じゃあな」 軽く返しておき、楽園ことマイハウスに入る。 俺が住んでいるのは、一軒家ではなくオンボロアパートの2階。特に事情は無いが、1人暮らしをしてみたかったからしている。実家はこっから近い。 「あ……夕飯の具材買ってねえや」 冷蔵庫の中身は空っぽに等しかった。今からでも買いに行くか……。 制服のまま、再び外に出る。 「……って、まだ居たのかよ!!」 「よっす!」 先程別れた恭が、階段先で天候の如く爽やかな笑顔と共に手を振っていた。暇なのかアイツも。 「お前はきっと出てくるって信じてた!」 「どんな信頼だよ」 その勘を勉強に活かせ。
/116ページ

最初のコメントを投稿しよう!

698人が本棚に入れています
本棚に追加