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「俺っちも付いて行く!」
「好きにしろよ」
屈託の無い笑顔で頼まれると断れん。まあハナから断る気も無いが、要は勝手にしろって事だな。
徒歩5分。人通りの少ない大通りに行き付けのスーパーがある。安い、安心、美味いの三拍子が揃った素晴らしいお店だ。
「お前って料理上手いよな~」
「そうか? 普通だろ」
「いやいやまたまたご謙遜を!! ずっと前に食わして貰った手作りハンバーグ……ビッグバンを優に超す衝撃だったぜ? また食わしてくれよ」
褒められるのは慣れていない。嬉しくないと言えば嘘になるが、どうも思考が鈍るんだよな。
照れを隠しながら、並べられた材料の中から安いのを選び出す。
おっ……大根安いじゃん。
「お、おい峻! あれ見ろあれ!」
「ん?」
肩が叩かれたかと思うと、異様なテンションではしゃぎ出した恭。
そいつの指差す方向には、キャピキャピと談笑してこちらに近付いてくる女子高生達。
「ナンp「帰れ」
言うと思ったぜ……ナンパはもう散々だ。
想像してごらん。周囲の冷ややかな視線。女の子の怯えた瞳。汗ダッラダラ。プライドがズッタズタ。
思い返す度に脂汗が。
「1人でやってろ、俺は帰るから」
「何だよ意気地無し~……」
何とでも言え。俺はお前みたいにビジュアル的に良くないからどうせ失敗するんだ。
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