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恭の奴、忘れ物か? 通学バッグ以外持っていなかった気がするが……。
ピンポーン?
「はいはい! どちら様です――か……」
バタン! ガチャリ!
ドアを開け、1秒も経たぬ内に勢い良く閉めた。鍵も掛けた。
何故かって?
そりゃあ玄関先でゴツいおっさんが3人も待ち構えていりゃあ誰だってビビるさ。
……何者だ、彼奴らは。
黒のスーツに黒サングラス、スキンヘッド×3。明らかに危ない。ル○ドかよ。
俺…何か関わる様な事したか?
いやいや、自らそっち方面に突っ走った覚えは微塵もない。
それは歴々とした事実だ、と言うかこれからもする気がない。
ピンポーン?
いつもは可笑しく感じるチャイム音も、今は死が近付いてくる様にしか聞き取れなかった。
ピンポーン?
どうする。選択肢は3つ。
1、戦う。
2、窓から逃げる。
3、交渉する。
1は却下。どう考えても確実に勝ち目がない。蜜蜂1匹で雀蜂の巣に突入するみたいなもんだ。ブーリブリチャカビガッビガッ。ガチ戦闘とかマジ勘弁。
目的が俺の命を狙いに来たのだとしたら、3は消去。交渉の余地が無いからな。
となれば――
「…逃げるしかねぇ」
君子危うきに近寄らず。小さな出窓を開け、……飛び降りた。
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