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「あっ……水坂君。久しぶりだね。中学以来……」
「高嶺さんですか。久しぶりです。お仕事も順調そうでなによりです」
「……順調なんかじゃないよ」
「知っています。いつ見ても目が笑ってませんからね。本当に嫌になったら逃げてもいいんですよ。誰も本当には困りませんから」
「……本当、昔から気持ち悪い程他人の事が分かってるんだ」
「気のせいです」
「……またね」
「アイドル頑張って下さい」
「……うん」
「人の心は一人では生きていけないですよ」
――――――――
「お父様から伝言だ」
「珍しいですね」
「新しい執事を派遣したんだって」
「新しい執事を発見しましたか。どこで発掘をしたんでしょうかわわわわわわわわわ」
「動揺し過ぎ」
――――――――
「僕は逃げません」
「何故?もう貴方に勝ち目はないと言うのに」
「二度逃げましたからね」
「それじゃあこの一撃で三度目にして差し上げます」
「逃げて!!水坂ぁっ!!」
「三度目は一生ありません」
―――――――――
「はぁ……長いようで短い一ヶ月だったわ」
胡桃澤は今までの鬱憤を晴らすかのように深い溜め息を吐き出し、仕事の達成感にうちひしがれていた。
「残り一週間ありますけどね」
もはや苦笑いしかでない水坂。天然なのか人工なのか。
「色々あったよね……」
胡桃澤は目を閉じ感慨深げに呟く。
「そうですね……まだ残り一週間ありますが」
「水坂が宇宙へ行った時はもう……」
「生徒会長に埋葬未遂はされましたけどね」
「水坂がギャァッリック砲を発射した時はもう……」
「ギャァッリック砲と小さく言って懐中電灯はよく点けてました」
「よぉっっっしっ!!残り一週間頑張るぞっ!!」
「よっ!ドンドン。パフパフ」
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