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「月の落し物……。何が落ちてきたのかな」
帰りの電車の中で、友達との会話を思い出しながらつぶやく。
「危ないものじゃなかったらいいけど……」
抱えられた不安は当然のものだった。
はるか昔、月に移民した人間たち。
月では月星公社という団体を中心に発展を遂げていった。
しかしその月星公社が月の独裁を始め、地球にもその食指をのばしてきた。
そして現在も月と交戦中なのだ。
「……おねえちゃん」
ひかるの言葉は電車のブレーキの音にかき消された。
空気の漏れるような音とともにドアが開く。
ひかるは荷物を手に取ると、閑散としたホームに降り立った。
夕焼け空がひかるを赤く染めた。
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