うつくしい魚

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「先生、有賀先輩はどうなるんですか?」 ごめんなさい、と谷崎先生はうな垂れた。 「……正直私にも解らないの。こんなこと、先生方も始めてでしょうし。校則に整形しちゃならん、って項目がある訳でもないけど」 良くて数週間の自宅謹慎。最悪、退学。 苦々しい表情で谷崎先生はそう告げた。 「ねぇ先生、もしコレが僕だったら、酌量扱いになるんでしょうか?」 驚いたような視線を向けられたので、慌てて首を振った。 「違います、ちゃんと先生と母との約束は守ります!もしも、の話ですよ」 「ああ良かった。驚かせないでよ、また貴方のお母さんに泣きつかれちゃうわ。そうね……変な話だけど、貴方なら多分許されると思うわ」 「そうですか」 静かな憤りを覚えるが、それは別に谷崎先生が悪いわけではないので胸に押しとどめる。 「さ、私も保健室戻らなきゃ。曽根川さんも早くしなさい、もうすぐ昼休み終わっちゃうわよ?」 一気に人気の無くなった部室を、静かに片付ける。 大幅な差がついた、碁盤の上。下手をしたら、もう二度と先輩と打てないかもしれない。 そう思うと、熱い鈍痛を与えるナイフが胸を刺した。 薄くて、脂肪の全くない、まるで子供みたいな自分の胸。ちっとも女らしくならない胸。 決して女になりたくない、僕の心。
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