井の中の稚魚

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成績も優秀だし、何かしら騒動を起こすタイプでもない、どちらかといえば目立たない類の人なのに。 体調不良とかで、彼女は先週から休みがちだ。その間に何かあったのだろうか。 きょとんとして尋ねると、皆は一斉に顔を見合わせた。 「ひかるも聞いてないのかぁ」 「実はね、連休明けに出てきた彼女がさ――」 聞かされた話に、一瞬思考が停止した。 「整形、手術……!?」 「そうそう!正しくは豊胸っていうの?明らかに不自然に胸が大きくなってらしくてさ」 「で、同じのクラスの人がそれパッド?って冗談で聞いたら、平然と答えたんだって!」 にっこりと微笑み「ううん、手術したんだ」と。 「今日の1限目は数学ね」とでも言うノリで、あっさりとまるで日常会話のように。 「そんなこと、するような人に見えなかったのに」 ショックを受けそう呟くと、友人の一人が相槌を打つ。 「私の知っている三年の先輩も、そう言ってたんだよね」 「人は見かけによらないってか~?」 「アレかな、やっぱり男の目を意識してってヤツ?」 「女は胸!ってなところ有るよねぇ、男って馬鹿だし!」 「でもさぁ、普通高校卒業してやるよね。もうすぐセンターだってのに」 「マジ、勇気有るわぁ」 その言葉に皆、ゲラゲラ笑った。 僕は思わず、自分の胸板を触った。ぺたんこの、微かな隆起すらしない胸。 「そうかなぁ、女は胸、かなぁ?」
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