始まりの日

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 優の通う高校は、自宅の最寄り駅から、二駅先の駅から歩いて15分のところにある。 ちなみに、高校を選んだ理由だが、中学生は自転車通学だった優が、電車通学をしてみたいといった、何とも軽い理由だ。 「学校の駐車場は無理っぽいし、電車で行こうね?」 一通りの準備を終えた優衣が、玄関にてヒールを履きながら言った。 「別に、無理して来なくてもいいのに」 ため息混じりに言う優に対し、優衣は苦笑いを浮かべた。 「だって、優ちゃんも晴れて高校生になったんだし、入学式ぐらい見たいじゃない?」 全く歪みのない笑顔に、口元を緩め、再度ため息をついた。 「私が来るのは、嫌?」 心配そうな表情を、上目遣いに見せる優衣。 そんな目で見られて、嫌と言える訳がない。 「そんな訳ないじゃん。 ただ、無理して行くくらいなら、来なくてもいいって思っただけ。」 そう言うと、優は優衣と並んでスニーカーを履いた。 「アッハハハハ、全然無理じゃないよ。 でも、ありがとうね。そんな心配してくれて。」 柔らかい微笑みを浮かべる優衣に、優はその顔を若干紅潮させる。 と、同時に立ち上がり、鞄を背負い、玄関の扉を開けた。 「さ、さぁて、早くいかないと。入学式から遅刻なんて、洒落になんないからな。」 「フフッ、だね。」 優のその言葉に、優衣は笑顔のまま立ち上がり、優の後に続き、玄関から外へ出た。
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