0.曇りのち晴れの予感

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――ここは、静かな戦場。 この狭い室内に集まった全員が敵同士。 前も後ろも、隣も敵。 勝つために、情けは無用。 全力で挑まなければ。 少しでも気を抜いたら、敗者となる。 「それでは始めます。よろしいですか?」 ごくりと唾を飲み、お気に入りの武器を手に取り構える。 幼い頃から大事な時だけに使ってきた『ニャンコ先生』の鉛筆。 始めの合図があるまで『ニャンコ先生』とにらめっこしながら精神統一。 「よーい、始め!」 サッと目の前に置かれた白い紙を引っくり返す。 そこにびっしりと書かれた問題の数々。 これが、俺の一生を左右する問題達。 『何としても絶対に亜須川高校に合格してみせる!この日の為に、必死で勉強してきたんだ!』  
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