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「ナナミさんってちょっと可愛いね」
春人がおかしそうに笑いながら言った。
私は恥ずかしくなって俯いてしまう。
「ほら、よしよし」
春人が子犬のお腹を撫でようとすると、子犬はくるっとうつ伏せになって、頭を差し出した。
そこをなでろと言う事なんだろう。
「お、なんだ。頭を撫でてほしいのか? 頭いいんだなお前」
よしよしと、頭をなでる。
「……その子、実は警戒心が強いから、あんまりお腹見せないんだ。
懐いているように見せかけているだけなんだよその子」
「えー。そうなのか? お前ー。なんかそう言われると、お前なんか頭よさそうな顔してるもんな」
二人して、くすくすと笑った。
「ナナミさん。あ、ごめん名字だと、ユウコと一緒だから下の名前で呼ばせてもらうね。いつも、ここに来てるの?」
春人が聞いてきたので私は指折り数える。
「週に4日ぐらいはきていると思う。この子、頭いいから自分でも餌見つけられるみたいだけど。私もこの子に会いたいから」
それを聞いて春人は少し、考え込むようにした後
「じゃあ、僕もこれから時折きても良いかな?」
そう言った。
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