バニシング・ツイン

ナナミとユウコ。

　私達姉妹には父親がいない。幼いころからいないのだ。

母からは死んだと聞かされているがそれ以上詳しい事は聞いていない。

田舎町で母一人で、双子を育ててくるのは相当大変だったのだろうと思う。

だから、ユウコは母にとってはとても自慢の娘で、目に入れても痛くないほどの溺愛ぶりだった。

　逆にいえば、母は私に対してはとても厳しかった。

できそこないの私が気に入らないのだろう。

母の私に対する口癖は

「あんたなんかいらなかったのに」「どうして双子で生まれたの」「ユウコを見習いなさい」「本当にできそこないだね」と言ったものばかりだった。