序章

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一体どれくらい殴られたのであろうか? 目が覚めた時には既に日が昇っていた。 殴られて気を失っていたのか、いつの間にか寝ていたのかはわからない。 ただはっきりとわかっていることは殴られたせいで体中が痛むということだ。 「もう耐えられない」 前々から母が言っていたことを姉は思い出した。 しかし彼女はもういない... 姉は高校生になった今でも未だに家から、いや父親から逃げ出すことはできずにいた。 理由は自分達にもはっきりとはわからない。 恐らく逃げ切ることはできないと思っているのであろう。 捕まれば確実にもっとひどいことになるであろうという恐怖心があるのだ。 彼女は切り傷だらけでズキズキと痛む右腕を押さえながら起き上がった。
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