序章

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家中をボロボロの体で歩き回る。 そこには父の姿は見当たらなかった。 安心した彼女は弟の姿を必死に探す。 自分が寝ていた子供部屋から見える居間から、誰かの足が見えた。 少し足早に居間に向かう。 予想通りそこにはうつぶせで床に横たわる弟の姿があった。 「大丈夫?」 彼女は揺するようにして弟を起こす。 痛々しい表情を浮かべながら彼は起き上がる。 「親父は?」 弟は右手で頭をさすりながら低い声で姉に尋ねる。 少女はただゆっくり首を横に振る。 「今日実行だな」 弟は殺気に満ちた目をしていた。 「おふくろの敵、絶対にとる」
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