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「最近、ごめんね」
「…いえ。大丈夫です。お仕事ですもんね」
「じゃけどこないだの誕生日も…」
「気にしないで下さい」
今まで我慢してきた分の寂しさがついキツい口調で出て来てしまい、また沈黙を生み出した。
(今、私…何て言った…?仕方ないじゃない。相手は人気バンドのギタリスト。そんなのわかっていて…覚悟の上だったのに…)
その沈黙の中で私の脳内はぐるぐると自己嫌悪に苦しめられて最後には無意識に涙が零れ落ちていた。
それに気付いた彼は片手だけ私に触れて一言「ごめんね。もう少しじゃから」と呟き夜のネオンが彩る都内を走り抜けた。
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