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誕生日を祝ってくれるつもりでいてくれた彼にはとても失礼だと思ったけど、このままではもっと彼に我が儘を言ってしまいそうだと思った私はお店の目の前まで来てもらっていたのに自宅に引き返してもらった。
わざわざお店まで連れて行ってもらったのに急に言い出して失礼だと思ったから最初は自分で帰ると言ったのに文句も言わず彼はちゃんと自宅前まで送って来てくれた。
「えと…今日はごめんなさい。お仕事頑張って下さいね♪ありがとうございました。おやすみなさ…」
「待って」
精一杯の笑顔で言葉を発していたらダッシュボードからガサガサと封筒を取り出してわざわざ降りて持って来られ言葉を遮られた。
「これ!」
「なんですか…?」
彼は何も言わなかったけれどいつもの笑顔で私に「開けて」と訴えていた。
仕方なしに封筒の中身を確認するとそれは一枚の彼の出演するライブチケットが入っていた。
「これ…」
驚きながら彼を見ると照れながらも笑顔で私に告げる。
「今日も本当はリハじゃったけぇ渡せるかわからなかったけど最近、寂しい思いさせてばっかりじゃったしギタリストのわし見に来てくれますか?」
私はこの時、さっきとは違う涙で返事をしました。
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