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午後3時半
私は自分の仕事を終わして彼に指定された場所にいました。
すると目の前から棚瀬さんがやって来て…
「京子さん!」
「こんにちは」
挨拶程度に頭を下げると事情を話され関係者通路を通り席へ。
「お迎えが遅くなってすみませんでした」
「いえ。忙しいのにすみません」
「そんなことないですよ。本当なら晴一さんが迎えに来るはずだったんですがもしもバレてしまったら大変なので僕で勘弁して下さい」
「そんな!忙しいんですからお気になさらないで下さい」
「ありがとうございます。お客さんいじりが始まったからそのうち開演すると思いますよ。とはいえ、こんな席で申し訳ないんですが…」
誘導されたのは人目につかない関係者席。
正直、見えにくい場所にパイプ椅子が並んでいるだけの場所。
「そんなに謝らないで下さい。私、十分満足してますから」
「本当ですか?」
「はい」
私が笑顔で応えると棚瀬さんはにっこりして
「きっと晴一さん今頃くしゃみしてますよ♪」
「…ふふ」
「それじゃ、僕はここで」
冗談を交わした棚瀬さんは私の前から姿を消した。
その頃、控え室では…
~♪~♪ジャジャ…へっくしっ!!
「なん新藤、風邪?」
「わからん。かな?」
「お前はえぇなー風邪引いても歌わんし」
「ちょっと。わしかて辛いんよ」
終演後のプロテイン作成準備をしていた昭仁さんとずびずびな晴一さんが交わしていた会話なのでした♪
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