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「あの…晴一さん?」
あ、いけない。いけない。
脳内だけで考え事はちょっとダメだ。
「…大丈夫?何か顔色悪いけど」
わしがいらん考え事をしていたからなのか顔色が優れないと心配されてしまったので笑顔に戻す。
「大丈夫よ。それより風邪うつるから帰った方が…」
いいと言おうとした言葉を彼女の言葉で遮られた。
「嫌よ。私はそんなに頼りないの?」
一瞬耳を疑った。
初めて彼女に拒否されたのだ。
「岡野さんが言ってたもの。きっと新藤は京子ちゃんに心配かけたくなくてわしに電話してきたんだと思うから責めんでねって」
彼女の口からは驚く言葉ばかりが紡がれる。
その言葉を聞きながらわしは脳内で「やっぱりわし昭仁に電話してたんだ」とか「昭仁、余計なことをべらべらと…」と怒りを覚えたけど何より昭仁から電話を受けてすっ飛んで来たであろう彼女の気持ちはやっぱり嬉しかった。
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