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その夜。
私はなんだか昼間の桃園さんの言葉がやけに耳から離れなくて大きなリビングにあるソファーに座りクッションを抱いたまま自分の携帯を眺め不安になりながら忙しいだろう彼に連絡をするかどうかで一人悶々と考えていました。
「…どうしよう…」
考え抜いた末、携帯を片手に握ったのはいいけれど通話ボタンが押せずにただひたすら彼の名前と電話番号を映し出す液晶画面とにらめっこをしてからもう数十分は経っていて…
「…はぁ…でもなー…」
そう。私は単に桃園さんの言葉を確かめたいから連絡しようとしてる訳じゃなくて実はこの間、何だか体調不良が続いて心配になった私はお医者さんに診て頂いたらはっきりと「おめでとうございます」と言われたけれど自分の仕事も忙しくて彼に連絡する時間が無かったからまだその大事なことも伝えていなかったのです。
当然、悩んでいてもテレパシーがあるわけではないから向こうからかかってくることなんてなくて…
時刻は既に23時まわっていたから寧ろ彼はこの時間だったらスタッフさんと飲み屋やもしくはホテルでビールを浴びるほど飲んでいるんだろうと思っていて次の瞬間、自分の手の中にある携帯が振るえることなんて想像もしていませんでした。
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