病院の記憶。

3/4
前へ
/171ページ
次へ
子供のころから体が弱かった私は、そのお医者さんによくお世話になっていた。 よく、子供は昼間はケロッとしているのに夜中に急に熱を出すと聞くが、 私は当時から熱に弱く、病院で待っている間もぐったりとおとなしかった。 そんな私からしてみれば長引いた病院に疲れているのに 追い討ちをかけるような、12時の時計の合図は 子供心にうざったかったのかも知れない。 前述したが時計は隙間があれば 埋めなければならないと言わんばかりに 何十と並んでいたのだ。 それも子供相手の商売だからか ファンシーで可愛らしいものや何かが多かった気がする。 あの病院は昼12時に、待合い室で時計が一斉に鳴り出すのだ。 音楽が複雑に入り乱れる待合い室で 当時の私は何を思っていたのだろうか。 現在ならば静かにしろと腹をたてるところだ。
/171ページ

最初のコメントを投稿しよう!

102人が本棚に入れています
本棚に追加