病気と。

病院の記憶。

その病院の待合い室の記憶が強いのは時計のせいだろう。
それ以外思い当たらない。

やはり子供心に静かにしてくれと思っていたのかもしれない。

当時は本当に幼く、注射も暴れないようにとベッドに縛り付けられた記憶がうっすらある。

その事を母に話すと、あんたは大人しくて暴れなかったけど
暴れる子供もいるからみんなベッドに縛り付けて注射されたんだろう、と言われた。

お医者さんの顔すら覚えていないが、
ベッドに縛り付けられたあたりの記憶が一瞬だけある。

今なら笑いたくなる光景だが当時幼稚園児くらいの私にとっては
看護婦さんの向こうで見ている母を呼びたくなる程度には緊張していた。

おとなしかった私は黙って注射されたのだが。