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-Doragon・side-
「冬摩、聞いてるのか?」
あれから夜が明け。いつも通りの所長の手伝いをしているが、頭だけは無意識にあのことだけを反芻している。
ライダーバトル、それに…人間を餌にするモンスター。
「おい、冬摩」
願いのために戦う、相手が死ぬかもしれないのに。
そこまでして叶えたい欲望を、俺は持ったことがなかった。
「………」
だから、俺には彼女たちの気持ちは分からない。そんな俺にライダーとなり続ける必要はあるのだろうか。
このデッキさえ、このデッキさえ手放せば、俺は………
ドガガガガガガガガガガ!!!!
「おわわわわわわわわわわわわわ!?!?!?」
突如響く炸裂音に目をやると、AK-69なぞを持っている所長が…
「…さて、仕事ほっぽりだしてまでの考えごとはなんだったのかな?
良かったら聞かせてはくれんか、え?」
ガチャリとこめかみに向く黒いポチ穴。
ホールドアップか、そうなのか?
「や、すいません。なんでもないです」
「………ふん」
ガチャリ と銃を下ろす所長、空砲なのは間違いないだろうが実弾でも違和感がないのが怖い。
「…そういえば、桐山さんのことなんですが」
「何か分かったのか?」
「それが…なにも」
あそこにカードデッキが落ちていたということは、ライダーだったのだろうか。
「ま、分かっていることがあるとすれば一つだな」
ふと、所長が口を開く。
「所長、それは…?」
「簡単な話だ。桐山はいなくなった、それだけは確かだろう?」
そう言い所長は椅子に座り…
「分かっただろう冬摩。
人がいなくなる、ということはこういうことなんだよ」
そう言う目には、なにか意思が籠ったものが…
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