5・闘志

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「……どういうことですか?」 「言葉の通りだ。私達は少なからず人々と関わりを持ちながら生きている。そこに綻びが出来れば波紋は全体に広がるのは当然のことだ。 言いたいことは分かるか?要するに…お前みたいな単細胞でも、誰かの都合でいなくなることは許されないんだよ」 彼女は煙草に火をつけ、ゆっくりと煙を吐く。 「私はね、君とは別に…何かを失って狂ってしまった馬鹿を二人見ている。 あの時君に似たものを感じた…だから私は無理矢理にでも立ち直らせたんだ」 その顔はどこか懐かしいものを見つめるような寂しい顔を…… 「だが…人間は弱い。失うにしろ殺すにしろ守るにしろ…唯の人間じゃ許容できるのはせいぜい一人だ。 それが…たまにやるせなくなってな」 そう言い、彼女は煙草を灰皿に押しつける。 「……いなくなっちゃ…いけない」 無意識に反芻するその言葉……頭の中を反響し、グルグルと…… 誰かがいなくなると、誰かが辛い思いをしたり、悲しんだり、憎んだり、 負の感情が、生まれる。かつての俺のように… そっと…ポケットの中にあるカードデッキに触れる。 失う苦しみを、この力があれば止めることができる。 ライダーとして、ライダー同士で戦うことの意味はまだ受け入れられないけど… 人を守るくらいなら…… ―キィィィィィィン― 「―――!」 外から聞こえるあの音。 思わず立ち上がり、 「――所長!!」 「…なんだ…急に?」 「俺は…大丈夫です。まだ答えは出てないけど…大事なものはわかります。だから、安心してください」 そう言い、事務所を飛び出す。 十メートルほど走った先にあった鏡に… 「……!!」 見慣れない人型、腰にはベルトがない。 おそらく…モンスター。 「…もう…失う苦しみはたくさんなんだよ!」 そのためなら、なんだってやってみせる。 「……行くぞ、俺!」 龍の紋のデッキを鏡に翳し… 「変身!!!」 ――叫んだ。 力を…覚悟を…宿命を受け入れるかのように。
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