5・闘志

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体の外側に第二の皮膚が加わるような感覚を覚えたときには、既に鏡のなかに飛び込んでいた。 鏡は水面のように脆く、ふと目の前には変則的なバイクが あれに乗るんだ 直感で悟り、バイクを走らせる。 瞬間、あらゆるものを無にする閃光の直後、全てが逆のもう一つの世界にいた。 「あいつか!」 バイクを止め、眼前の敵に全神経を注ぐ。 デッキからカードを抜き、 『Sword vent』 空から降りてくる片刃剣を掴み取る。 直後、殺意を隠さず弾丸のように走り出すモンスター 『――――!!!』 恐れか、狂気か、憤怒か、その勢いは凶々しい。 だが、それ故に読みやすい。 「――ふっ、はっ!!」 刹那の単位で回避しながら、剣で斬りつける。 ――甲殻に食い込み弾け飛ぶ火花に、暗黒の高揚を覚える―― なぎ払うような一撃を躱し、蹴りを見舞う。体がまるで別人のように動く。頭のイメージが、従順にカタチになる。 ――相手が人間でないぶん背徳感がないのが安心か、不満か…今の自身には分からない。理解するだけの余裕もない―― 幾重の斬撃の末、相手は息も絶え絶えに立ち上がり、なおまた吠える。 ――相手が人間なら命を乞う哀れなさまを見れたのに、と奥底で誰かが嘆いた―― デッキからカードを引き抜く。 龍の頭を象形にしたようなソレを右手の機械が読み取り、 『Final vent』 赤い龍が舞い降りた直後、体じゅうを走る紅蓮の波動。 四肢を、肉体を支配する破壊のエネルギー それを帯びたまま、高く、高く飛翔する。 右脚に全神経を、全ての意識を敵の破壊という概念に定着させる。 『――!!!!!』 背後に回った無双龍ドラグレッターが吠えた直後、体は紅蓮の弾丸そのものになった。 「うぉおおおおおおあああああ!!」 弾丸のように速く、刃のように鋭く、そして煉獄よりも熱く、マグマが破裂したような紅蓮の蹴撃が、狂いなく獲物に突き刺さった。 『―――!?!?!?』 自身の体に爆撃を、紅蓮を帯びたまま、モンスターは灼熱の業火に飲まれ、やがてそのものになった。 「―――ハッ!」 緊張が解かれ、思わず肩で息をする。 ふと、上を見上げると 『―――』 モンスターから出てきたナニカを、ドラグレッターが喰っていた。 そして… 「……あ」 爆炎の奥に立つそいつを見た。
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