5・闘志

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大学を出て、バイクを止めてる駐輪場につく。 そこにはいつもと同じ顔触れの学生に混じり… 「………」 いや、あるな。違和感。 さりげなく、けれど無視できないレベル。 無視できない…敢えて言い換えるなら、何故か無理矢理にでも直視してしまう…と言ったところだろうか。 簡潔に言うと… 「……何故?」 見慣れないショートヘアの女の子が一人いた。 見慣れないと感じたのは、おそらく彼女が不自然だったからだろう。 いや、不自然と言っても別に阿呆な振る舞いをしているわけではない。 ただ佇んでいる。だが虚ろにではない。 まるで、なにかを待っているように。 で、運悪くその人はオレのバイクのすぐ側にいるわけだ。 ――ホント、いろんな意味で勘弁してもらいたい。 ともあれ、まさか出会い頭にフルボッコになる羽目などないだろうとTheシカト精神でバイクに近寄り…… 「…あんたね、昨日のライダーは」 聞き捨てならない単語とともに、出会い頭にしてMAXな敵意を向けられる羽目になった。 「…………」 とりあえず、何食わぬ顔でバイクにまたがりヘルメットをかぶる。 「…あんたに言ってるのよ」 再び声を掛けられる。 ナンパにしろ敵意にしろ、まだ未経験だから困ったものだ。 「…オレでいいのか?」 「あんた以外に誰がいるのよ」 …出来れば人違いであってほしかった。 「影宮教授になにか用でも?」 「だから私はあんたに用があるのよ。 昨日、工場でライダーになったあんたにね」 ――なるほど、そう来たか。 受け流しは通用しないかと嘆きつつ、トラブルの匂いに満ちた現状をさらに嘆かざるを得なかった。
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