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大学を出て、バイクを止めてる駐輪場につく。
そこにはいつもと同じ顔触れの学生に混じり…
「………」
いや、あるな。違和感。
さりげなく、けれど無視できないレベル。
無視できない…敢えて言い換えるなら、何故か無理矢理にでも直視してしまう…と言ったところだろうか。
簡潔に言うと…
「……何故?」
見慣れないショートヘアの女の子が一人いた。
見慣れないと感じたのは、おそらく彼女が不自然だったからだろう。
いや、不自然と言っても別に阿呆な振る舞いをしているわけではない。
ただ佇んでいる。だが虚ろにではない。
まるで、なにかを待っているように。
で、運悪くその人はオレのバイクのすぐ側にいるわけだ。
――ホント、いろんな意味で勘弁してもらいたい。
ともあれ、まさか出会い頭にフルボッコになる羽目などないだろうとTheシカト精神でバイクに近寄り……
「…あんたね、昨日のライダーは」
聞き捨てならない単語とともに、出会い頭にしてMAXな敵意を向けられる羽目になった。
「…………」
とりあえず、何食わぬ顔でバイクにまたがりヘルメットをかぶる。
「…あんたに言ってるのよ」
再び声を掛けられる。
ナンパにしろ敵意にしろ、まだ未経験だから困ったものだ。
「…オレでいいのか?」
「あんた以外に誰がいるのよ」
…出来れば人違いであってほしかった。
「影宮教授になにか用でも?」
「だから私はあんたに用があるのよ。
昨日、工場でライダーになったあんたにね」
――なるほど、そう来たか。
受け流しは通用しないかと嘆きつつ、トラブルの匂いに満ちた現状をさらに嘆かざるを得なかった。
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