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「…ライダー、ね」
確かにバイク乗りですけど、などとくだらないジョークかましてる場合でもないらしい。
メットを外し、溜め息交じりに応える。
「…確かにその言葉に聞き覚えはあるし、昨日の黒マスクはオレですよ。
でもそれがアンタと何の関係がある?」
「決まってるでしょう…
私もあそこにいたのよ」
「……は?」
そう言い、彼女がコートのポケットから取り出したのは…
「…………」
白銀の紋章が刻まれたカードデッキ。
朧気な記憶が蘇り、咄嗟に口が開く。
「そうか、アンタが…ゲイか」
「そうよ私が………は?」
瞬間、佇む沈黙。
「…だから、ゲイなんだろ?
ヒトから聞いた話だけど…」
………グィ
「……ん?」
突然の首ロック、何があったかと戸惑う間もなく……
「誰・が・ゲイよ誰がぁ~!!」
怒りのヘッドロックが襲いかかった。
「ギャース!!ストップ!!
だって聞いたんですよ、いやマジで!
ゲイだから関わるなって!」
「ガイよガ・イ!!
変な間違いすんじゃないわよ!!」
「よし、分かった。まずは離して、離してくださいお願いします!!」
命乞いの甲斐あってか、なんとか離してもらう。
「あのね、こっちは遊んでる暇なんか無いの。次ふざけたら殺すわよ」
ふざけてなどいない、と言いかけて…ソイツに視線を置く。
「――ッ、あのなぁ…」
始めて眼を合わせ――、
「………」
――うぉう、すげぇ美人。
ちょっと朱めの髪がよく似合う、どちらかと言えば可愛い系――って阿呆かオレは!!
「……何よ? 人の顔ジロジロ見て…」
「…悪い、何話すか忘れた」
「……はぁ?」
「オレから話すことは無いってことだ。良いから話を戻そう」
――まぁ、嘘ですけどね。
正直めんどくさいからさっさと終わらせたいだけです。
「…で、えーとだ…オレはどうすれば良いんだ?」
「決まってるでしょ、戦うのよ」
「…喧嘩か?」
「バカ、そんなわけ無いでしょ。ライダーの闘いよ」
「…やだよ、めんどくさい」
「……………」
……ガチィ
「…ん?」
「アホかあんたは!」
ビキィ
「ギャーまたコレか!」
首ロック再び。
危うし耶俥、死は目前か――
―キィイイイイイン―
「「―――!!!!!」」
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