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響き渡る反響音、
それに反応した彼女は咄嗟に手を放す。
「――ッ、まさか…モンスター!?」
「ゲフゥ…モ、モンスターはお前じゃねーか」
「うるっさい!いいからさっさと来なさい!此所の誰かが襲われてもいいっていうの!?」
「むがーッ、とりあえず説明をしろっての!!」
走り出す女。それにつられてコチラも駆け出す。
ほどなくして、
「いた!アイツよ!」
前方に立ちすくむ機械体。
無骨な鎧を纏ったソイツは、地面に倒れ込む人影に迫る。
ぐったりと地面に倒れ込むその人影を視界に捉えた瞬間……
「――ッ、先輩!!」
『――――!!!』
獲物に牙をむく怪物
数瞬もあれば、彼女の躯は虚像と消える。
横の女が焦ったように叱咤の声を上げる。
「くっ…間に合わな――!!」
だが、その声はオレの耳には届かず……
「――ッ先…輩に…」
『―――!』
「――何さらすんじゃこのダァホがぁ!!!」
――ゴガンッ!
『―――!?!?』
炸裂する鉄拳。
明らかな奇襲に予想外なほど吹っ飛ぶ機械体。
「オラかかって来いや!!
このド変態がぁ!!」
『―――!!』
自分でも分からんくらいの荒々しい怒声。
その威嚇に怯んだのか、その怪物は近くの鏡面へ飛び込むように消えていった。
「大丈夫ですか!」
その女は、そのまま倒れ込む先輩へ駆け寄る。
「……ん、う~ん………あ、あれ?」
「怪我はありませんか?」
「…え、えーと……何かあったんですか?」
「…………」
――さすが先輩!
当事者のくせに何一つ分かってねぇ!
「…と、とにかく、此所は危険ですから早く離れてください」
「危険って…何がですか?」
「い・い・か・ら・早く!」
「は、はぃ~!」
その声に、先輩は小悪党みたいな駆け足で逃げ去っていった。
「…さて、私達も――って、アンタ何うずくまってんのよ?」
「……いや、別に」
――拳が…全力で金属体ぶん殴った結果がコレかよ……マジ痛いんですけど?
「…ていうか、追っ払ったんだからもういいんじゃないのか?」
「アイツらは一旦人間を襲うとしつこく同じヤツを狙い続けるのよ。此所で仕留めた方が早いわ。
アンタはそこで見てなさい」
彼女がカードデッキを突き出す。
その瞬間――
「変身!」
……彼女の躯は、一瞬の光とともに虚像に包まれた。
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