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『―――!!!』
互いに巻き込まれながらゴロゴロ転がるデッドリマー。
一方で……
「…猿が絡み合う光景、あまり視覚的によろしくはないな。
それはさておき…あの女、なんつーバ火力……」
「誰がバカよ!!」
――ぎゃあ、横にいました!
「や、火力の話をだな。それと、もうちっと周り見て戦え」
互いに相並びながらいつの間にか銀の鎧と共同戦線。よく知らんが味方にするとマジ頼もしいなこの人。
「そんなことどうだって良いわ。それよりアンタ、さっきから何やってんの?」
「何ってこのカードで…アタック…ライドゥ?」
「このバカ、カードはバイザーに通さないと使えないのよ。
ていうか何、カードが使えないって……もしかしてアンタ素人?」
呆れたように彼女は言う。ふと気がつけば、先程までの敵意が今の彼女からはほとんど感じられなかった。
「や、その気になれば素手でもイケ……」
「駄目よ。これからのこともあるんでしょうから、今から使い方に慣れておきなさい」
指を突き出し指摘するように彼女は言う。
ここで先輩や先生相手なら皮肉のひとつも出るのだろうが……
「…参ったね、どうも」
――何故だろう。まるで反論する気になれない。
まぁ…今はそれどころではない、か。
『―――!!!』
『―――!!!』
「来たわよ、急いで!」
「わぁってるよっと!!」
咄嗟に片腕の機械にカードを通す。青い炎を上げ、そのカードは燃え尽きて消えていく――――同時に、
『Sword vent』
抑揚のない女性らしき機械音声。同時に鏡の中で光りだす虚空。
放たれた光が右腕の中へ注ぎ込まれ、残像に過ぎなかった光が刃のカタチをもって実体のある虚像へと顕現された。
「……スラッシュダガー」
幾重もの刃がついた、まるで尾のような刀剣。
気がつけば、その剣の名前を呟いていた。
「…悪い、アイツらオレ一人に任せてくれないか?」
「……え?」
「肩慣らしだ…」
ダン、 地面が鳴る音
既に上空で銃を構えた一体の魔物が 狙いを定め……
「……遅い」
『――!?!?』
一撃で叩き付けられた怪物。
次いで漆黒の鎧が軽やか着地する。
「…あーなんだ、先輩を狙おうってのはマジで良い好みだ。
だが悪いな。ウチの可愛い妹はそう簡単には渡さんぞ」
この台詞はどこまで本気なのか、薄い笑いを浮かべながら剣を構えた。
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