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地鳴りは二度、
内一方は正面より、そして上空に一体。
――単調すぎる。
「阿呆がッ!!」
上段に構えた太刀を叩き下ろす、ガキンと火花が散り怪物が悶える。
「危なッ!」
――直後地面に突き刺さる火線から逃れる。
「――さぁて、次のお題は……っと」
デッキからカードを抜く。
人型の絵柄が描かれたソレをバイザーに通す。
『-Advent-』
――ゴゴゴゴゴ、
「――んなっ、何か来やがった!?」
後方から疾走する黒い影、ジェイソンじみたマスクから伸びたコードが仰々しい、どこかコオロギを思わせる漆黒の機械兵。
『―――!!!!』
頭部が爆ぜる。
敵意らしき意図で放たれたソレは、明らかにオレを避けて猿二匹にぶち当たる。
『―――!!』
『―――!!』
ドゥ、と爆撃が響く。
威嚇にしてもやり過ぎである。
迫ったソイツが敵でないと確信した瞬間、頭の中に閃くプラン。
「サイコローグ、肩!!」
言うが早いが跳躍、不意に出た名前を叫びながら漆黒の怪物の肩を踏み台にする。
『―――!!』
『―――!!』
それはまさしく、一瞬の急降下。
「喰らいやがれぇぇ!!」
――ズバン、太刀音が火花を散らし響き渡る。
上空からの稲妻のような一閃が、一匹の全身を捉える。
『―――!?!?』
悶絶するデッドリマー、ソレに追い討ちをかけるように…
『―――!!!』
サイコローグが放つ幾重もの弾丸。
相棒にしては空気読めすぎである。
『――――!?!?!?』
ズン と響く爆音が大地を揺らす。
断末魔ごと響き渡った死の花火は、残された片一方に恐怖の片鱗を刻み付けた。
『―――!!!』
逃げるとなると、獣というのは早い。
気がつけば、逃したソイツとの距離はおよそ数百メートル。
――あ、もう1キロ行ったな。
「――悪いが、そこまでお人好しじゃねーよ!!」
剣を投げ捨て地面を蹴り、疾走。
走りながら、デッキからカードを抜く。
『-Final Vent-』
機械音声が鳴り、カードが青い炎に包まれる。
直後――
『――――!!!!!』
背後から不吉極まる咆哮。
振り返るとそこには……
「――ッ、なッ、こ……これは………!?!?」
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