5・闘志

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-Doragon side- 揺らめく業炎の奥。陽炎がごとく虚ろな像を結びながら、その人影は闊歩する。 「―――!」 瞬間、モンスターの類いと見違える。 当然だ。あの時に見た姿形で無ければ…冬摩刃はその影を敵と見なしていたからだ。 「…凪川…さん?」 その人影…ナイトの鎧を纏ったライダー、凪川零の姿から放たれる圧倒的な敵意。 右腕に構えた剣のように鋭く刻まれたその衝動は…… 「―――ッ!!!」 次の瞬間、獲物を仕留める騎士のごとく解き放たれた。 「しま…ッ!!」 ガァン と火花が散る。 上段から振り下ろされた迷いなき一撃は、辛うじて突き出したバイザーによって阻まれた。 「…賢しい真似を」 軽い音を弾きながら、ナイトは距離を開く。 「零さん、待て! 俺は君と争うつもりはないんだ!」 「…なんですって?」 焦りながら放った言葉に、彼女は落ち着いた声で反応する。 「言葉の通りだ!俺はライダー同士で争う気なんか無い!だから…」 「………そう」 冷淡な声が返る。 酷く落ち着いたモノだが、それは酷く背筋を凍らせるほど冷たく… 「…つまり、貴方は此所で死にたいのですね?」 その返答は悍ましいほど冷酷なモノであった。 『Sword vent』 紡がれる冷淡な機械音、 ナイトの両腕に鋭利なランスが浮かび上がる。 「くそッ!!」 叱咤交じりにカードをデッキから引き抜く。 直後、ナイトの躯は大きく宙に飛び上がる。 『Guard vent』 ――ガキン 鈍い音が火花と共に響き渡る。 空中からの一撃を阻む二つの楯。龍の甲殻を思わせる烈火の鉄壁が龍騎の両腕にはめ込まれていた。
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