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『―――ー!!!』
ディスパイダー・Rが放つ毒針を、ナイトは身を転がしながらかわす。
「…仕方ありませんね」
呟きながら、ナイトはデッキからカードを抜く。剣の一部が翼のように開かれ、そこにカードが差し込まれる。
『Guard Vent』
直後、ナイトの視界を埋め尽くす程の毒針が その身体 目掛けて襲いかかった。
弾幕に覆われるナイトの姿、だが……刹那の間で虚像の世界に現れたナニカがそれを阻んだ。
「終わりですか?」
いつの間にか、背中に纏わせた漆黒のマントを靡かせながら、ナイトは無傷のまま問いかける。
『―――!?』
あり得ない、と言わんばかりに敵が弾丸を飛ばす。
「はぁッ!」
ナイトがまるで闘牛士のようにマントを振るう。
優雅な舞いを思わせるマントは、まるで疾風になびかれたように、その毒針を次々と弾き飛ばした。
其は漆黒の楯、ナイトの契約モンスター・ダークウイングが背中に取りつき、その翼をマントのように伸ばしていた。
布の性質を持った楯、故に其は使用者の意思で自在に形を変える柔なる鉄壁。
「遊びはこれまでです!!」
ナイトが飛翔。
美麗に空を舞ったと思った 直後――
『――!?!?』
ザン と太刀音が響き、ディスパイダー・Rの脚のひとつが斬り落とされた。
『ーFinal Ventー』
機械音がナイトの剣から鳴り響く。
飛翔するナイトの身体。だがその高度は、既に飛翔の域を軽く通り越していた。
蝙蝠の翼が広がり、その姿は天へ高く舞い上がる。
「闇の翼」の名を冠する怪物 ダークウイングが背中からナイトの身体を包み込む。
漆黒の槍に染まる其は同時に、ナイト本人でもある。
『――――――!』
直後、螺旋の一迅に大気が啼いた。
天空からディスパイダー・Rに向かって剃り落とされる一本の槍。
それは螺旋を描きながら、一直線にその怪物の躰へと降り注がれた。
『――――!?!?!?!?』
ズン、と大地が鳴り、それが全てを終わらせた。
貫かれた、一瞬
刹那の間で穿たれた躰から閃光が生まれる。
青白い火花が怪物の全身を駆け巡り、
やがてその断末魔は、爆炎へと包まれ虚空へと消えていった。
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