5・闘志

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爆炎のなか、ナイトの身体がゆっくりと起き上がる。 その眼は次の瞬間、次なる目標へと移り始める。 それを感じ取った龍騎も身を構えようと―― サァァァァァ… 「……え?」 「――!」 突然の事態、ナイトと自分の身体から粒砂状のモノが剥がれ落ちていく。 どことなく危険な予感。 「な、なななん…!?」 「時間切れ…ですね」 予想だにしない事態に動揺するコチラを他所に、ナイトは落ち着いた様子で呟く。 「じ、じじ時間て…?」 「私達ライダーがミラーワールドに居れる時間は限られてるんですよ。およそ9分55秒、それを過ぎると…」 「過ぎると?」 「こうなります」 ――分かりやすい説明だ。要するに死ぬってことらしい。 「とにかく、死にたくなければさっさと戻りましょう」 言うが早いが、ナイトは近くの鏡の中へ飛び込んでいった。 それに続いて、ナイトと同じ鏡面に向かって走る。 だが―― ――――ガン 「―――あいたッ」 派手に頭が鏡にぶち当たり、ひび割れたソレを前に頭を抱える。 ――――と、 『……何やってるんですか貴方は?』 呆れたような声が鏡の向こう側から届く。 「いや、何ってその…」 『入った場所からでないと駄目ですよ』 「それは…初耳だな」 『……失礼、少々説明不足でした』 「ん、よぉっと!」 鏡の中から現れた龍騎の鎧。それが砕け散り、中から冬摩の姿が現れる。 「…もうモンスターの気配はない、か」 ニ体だけ、というのも不自然な気もする。まぁ、野生だから多少の偶然は当たり前なのだろうが…それにしても、まるで零さんと出くわすよう仕向けられたような…… 「――まぁ、とりあえず被害は出なかったんだし良いかな」 そう自分に言い聞かせ、足早に事務所へ向かう。 零さんのことも気になるが、今 出くわせば間違いなく火に油を注ぐ。 それに事務所は、あと角一つ曲がれば遠目に見えるような近場にある。 よほどの偶然が無い限り遭遇するようなコトは… 「――!」 「――ん?」 角を曲がった直後、互いに目が会うその瞬間…… 「「―――え?」」 ……一瞬、沈黙。 「――あ、零さん。さっきはありがとう」 「いえ、お気になさらず――――じゃないです!!」 ……偶然って怖いよね。
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