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爆炎のなか、ナイトの身体がゆっくりと起き上がる。
その眼は次の瞬間、次なる目標へと移り始める。
それを感じ取った龍騎も身を構えようと――
サァァァァァ…
「……え?」
「――!」
突然の事態、ナイトと自分の身体から粒砂状のモノが剥がれ落ちていく。
どことなく危険な予感。
「な、なななん…!?」
「時間切れ…ですね」
予想だにしない事態に動揺するコチラを他所に、ナイトは落ち着いた様子で呟く。
「じ、じじ時間て…?」
「私達ライダーがミラーワールドに居れる時間は限られてるんですよ。およそ9分55秒、それを過ぎると…」
「過ぎると?」
「こうなります」
――分かりやすい説明だ。要するに死ぬってことらしい。
「とにかく、死にたくなければさっさと戻りましょう」
言うが早いが、ナイトは近くの鏡の中へ飛び込んでいった。
それに続いて、ナイトと同じ鏡面に向かって走る。
だが――
――――ガン
「―――あいたッ」
派手に頭が鏡にぶち当たり、ひび割れたソレを前に頭を抱える。
――――と、
『……何やってるんですか貴方は?』
呆れたような声が鏡の向こう側から届く。
「いや、何ってその…」
『入った場所からでないと駄目ですよ』
「それは…初耳だな」
『……失礼、少々説明不足でした』
「ん、よぉっと!」
鏡の中から現れた龍騎の鎧。それが砕け散り、中から冬摩の姿が現れる。
「…もうモンスターの気配はない、か」
ニ体だけ、というのも不自然な気もする。まぁ、野生だから多少の偶然は当たり前なのだろうが…それにしても、まるで零さんと出くわすよう仕向けられたような……
「――まぁ、とりあえず被害は出なかったんだし良いかな」
そう自分に言い聞かせ、足早に事務所へ向かう。
零さんのことも気になるが、今 出くわせば間違いなく火に油を注ぐ。
それに事務所は、あと角一つ曲がれば遠目に見えるような近場にある。
よほどの偶然が無い限り遭遇するようなコトは…
「――!」
「――ん?」
角を曲がった直後、互いに目が会うその瞬間……
「「―――え?」」
……一瞬、沈黙。
「――あ、零さん。さっきはありがとう」
「いえ、お気になさらず――――じゃないです!!」
……偶然って怖いよね。
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