47人が本棚に入れています
本棚に追加
「ふむ…てことはアレだな。アンタらにコレを渡した人間がいるってことだな」
「えぇ。ソイツは“高見士郎”。このライダーバトルの管轄者よ」
「オーケイ。ソイツに会わせろ。ムッコロス」
もうなんかアレだ。先生直伝踵落としでも決めてやる。
「無理よ。だってアイツはミラーワールドの住民だもの」
「…なに、人住めんのアソコ?」
「普通は無理。でも何故かアイツだけは生身のままミラーワールドに存在できる」
「軽くチートだな。つーか、それもう死人と同等じゃねえか」
そーゆー意味ではある意味 親近感…ないし同族嫌悪に似た心境。
「やれやれ…皆お暇なこった。欲しいモンがあんなら働いて買えっつの。
それで…お前の望みは何なんだ?」
「…アンタには関係ないわ」
「ふぅん、金とか権力とか求めそうなタイプには見えねぇけどな」
「………」
「まぁいいさ。オレには関係ない。
とりあえず、自分に振りかかる火の粉だけ払わせてもらうとするよ」
あいにく、叶えたい願いなんて持ち合わせてはいない。
自分にソレを得る資格があるとも思っちゃいない。
ただ虚ろのまま生きて、いつか死ねばいい。こだわるのは死に様くらいだ。
「…さて。話も聞いたコトだし、いい加減帰らせてもらう。先生にバレたらコトだし、何より眠い」
んじゃ と立ち上がり扉に向きなおる。未練もなくサクッと立ち去ろうとしたその時――
「――待ちなさい」
背後からの声が、一瞬にして敵意を帯びたものとなるのを感じ、振り返る。
「まさかこのままタダで帰れると、本気で思ってるのかしら?」
「あぁ、思ってるよ」
「そう、でも残念ね。あなたには…今ここで脱落してもらうわ」
睨み付ける彼女の手には、鋼色に染まるカードデッキ。
「私はね…チャンスは逃さない主義なの。悪いけど、大人しく倒されてちょうだい」
「……へぇ、そりゃ結構だ。だが…ならなんでオレに今までのことを話した?
背後からサックリやれば良かったじゃないか」
「ふん、そんなのアンタに自分の原状を分からせるために決まってるじゃない。
何も知らないヤツを倒せるほど外道じゃないわ」
自信たっぷりに彼女は言いはなつ。
それを見ながら…
「……」
途端、頭の中が冷めていくのを感じた。
そして――
「…なぁ。悪いけど、勝負する必要は無いみたいだぜ?」
「え?」
「悪いがこの戦い…
オレの勝ちだ」
最初のコメントを投稿しよう!