6・来集

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時刻は夕暮れ、 皆が足早に家路へと急ぐ中…… 「―――暇」 ……またか、と上司のボヤキに頭を抱える。 「暇って先生…朝置いてあった書類の山脈があったでしょう?」 「んなモンとっくに終わってるわよ」 「…マジ?」 確かまともにやって二日分くらいはあったと思うが… 「九分でいい」 ――それは 流石に無理がある。 「…ハァ。なら帰れば良いでしょう。戸締まりなら生徒が帰った後にオレがやっときますから」 「おぉ、流石は私の部下! 見事な仕事と感心するが何処もおかしくはない」 「オレは別に強さをアッピルしているわけではない」 俗語に俗語で返すオレ。 まぁ、毎日のように無理矢理 教えられたらこうなるのも必然か。 「んじゃま、私は帰るわ。生徒達、サークルとかで夜まで長居すると思うけど…残業代欲しい?」 「くれるんなら貰います」 オーケイ、と快く返事する先生。珍しく財布の紐が緩んでるな……。 ていうか、収入がこの人の気分次第ってのはどうなんだ実際。 「いいわよ、百円くらい」 「やったぁ、駄菓子が買えるぜ……ってコラ、ガキのお使いかコラ」 「冗~談よ。ま、期待しときなさい。 夜更けまでゆっくりしていってね♪」 爽やかなデビルスマイルの後、先生は鞄を片手に教授室を後にしていった。 「…相変わらず、趣味を覗けば文句なしの人だよな。何処で人生のベクトル間違えたのかな………っと」 瞬間、朧気になりながら崩れる視界。 つんのめりかけ、近くの壁によりかかる。 「ぉお……ッ、いつものきた。慣れないねぇ、ホント…ッ」 血が足りないのは認めるが、いつ意識が飛ぶか分からないのが考えものだ。 「ぁ……ヤバ、今回は駄目だわ…」 ソファに寄りかかった瞬間、睡魔とは似て非なる意識の断絶に包まれた。
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