6・来集

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まるで機械が目覚めるように、 「……ん」 パチリと、はっきりした意識のまま目を覚ます。 どうやらしばらく意識が飛んでいたらしい。 まぁ、いつものことだし焦る必要は… 「……ん?」 ふと視線を置いた瞬間、時計の二つの針があり得ないほどすっ飛んでるのに気づく。 「……うぃ?」 ――非常事態につき、高速思考を展開。 理性からなる人間は、何時如何なる時は無理でも、可能な限り冷静でいなければならない。 よし、考えろ…考えるんだオレ!自分の脳という名のネットワークから可能な限り必要なデータを咀嚼、厳選し吟味せよ。 あの時ソファにぶっ倒れて、時間だけが過ぎたわけだから… 「……おk、状況は理解した」 ジーザス。 深夜まで居眠りぶっこいた。 時間的にもう人が残っている時間でもなし。 残業っちゃ残業だが…これで良いのか? 「…うん、帰ろ」 とりあえず教授室の灯りを消し、闇に包まれた廊下へと踏み出した。 そのまま、見回り兼戸締まりがてら校舎をうろつく。 学校らしい金属に近い廻廊は、月の光を暗黒に滲ませながらも反射させている。 真っ暗闇にただ独り。 妖怪とかお化けとかモノノケの類が出て来るには絶好のシチュだが、実際出て来ればさすがにビビるものが…… ―キィィィィィィン― 不意打ちの耳に入るその音を聞き、ひとまず自分の意見を撤回する。 怖い恐いに関わらず、モノノケなんてものはただただウザいだけである。 ついでにいえば、彼らは人間からウザがられたから人間へ邪念を抱いたということ。いつだって引き金は人間だ…ホント、迷惑極まる。 その“人間でない”怪物の覇気を纏う五秒前みたいな奴は、ゆっくりと廻廊の角から出て来る。 明らかに狙いはオレ。 ヤツの名前はさしずめ… 「…よう、こんばんは。 今夜はいい夜だな。西園寺」 「――――」 サイ女といったところだろう。
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