6・来集

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突然 鳴り出した反響音の方向に、西園寺は視線を走らせる。 「これは…ッ!!」 敵を終始 威嚇していたメタルゲラスが黒い影に組み伏せている。 ソレが相手の契約モンスター、サイコローグであると気付いた直後―― 「――ッ、しまった!」 既に視界から消え失せている相手の存在に気付いた。 「――いいわ、こうなったらとことんまで追い詰めてやろうじゃない!」 響き渡る足音をたどるように、西園寺は激情のまま暗い道を駆け出した。 「――まったく、お転婆が過ぎる姫様だこと。 いや、それもそれで可愛げが…」 緊張感に欠けた独り言を呟きながらひたすら駆ける。 正直、決闘の真似事なんざ知ったことではない。 一人でやってろといった感じである。 駆け出しているうちに、非常口のような扉が見えた。 あそこまで辿り着ければ… 「…あー、不味いな。この展開、なんかフラグっぽい」 ―キィイイイイイン― 「それみたことか!」 壁が歪み、中から咆哮とともに白銀の怪物が飛び出す。 『―――!!』 その怪物、メタルゲラスはそのまま一直線に獲物へと突進するも… 「…残念、甘いよ」 『―――!?』 次の瞬間、その獲物は虚像から放たれた光に全身を包まれ、やがてひとつの像へと成った。 「さて、オレのターンだ」 タン、と軽い音。 舞い上がる黒い影は直後、敵に飛びかかる。 「はいッ、ダァーンク!!」 相手の頭部を鷲掴みにし、そのままその鎧は敵ごと鏡の中に飛び込んでいった。
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