6・来集

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――ミラーワールド、あらゆるものが反転した世界。 そこにある大学の一部の壁が…… 「おらぁッ!!」 『――!!』 組み合った二者の突進によりあっさり砕かれた。 そのまま黒い影、オルタナティブ・ゼロはメタルゲラスをふりほどき後ずさる。 ――相変わらず人間離れした力だ。いや、変身した時点でもはやオレは人間ではないかも…。 とにかく、出てしまえばこの体に用はない。 どこかからさっさと脱出―――させてくれないよなぁ、やっぱり。 「………」 眼前には敷地内の広場。 その広場から迫る感じで銀色の鎧が立っている。このタイミングであそこにいるってことは…初めからオレの行動は読まれてたらしい。 『Strike vent』 西園寺もといガイの左腕に犀の頭を模した武器、メタルホーンが装着される。 「――はぁあああああああ!!!!」 直後、その重甲はその外見からとは思えぬ速度でこちらに迫る。 思わず後ずさった直後、コンクリ仕様の壁にぶつかる。 「――まずっ!!」 少しばかり焦った瞬間、 「――やぁ!!」 ゴン と鈍い音を放った一撃を、反射といって言いほど無意識に身をかがめて避ける。 即座に身を転がし体勢を立て直したとき、オレが見たのは彼女の左腕の犀の角がコンクリートに巨大な穴を空けた光景だった。 「――うん、ヤバい」 あとコンマ数秒遅ければ、オレの体にもトンネルが開通していたかもしれない。 『Sword vent』 逆ノコみたいな剣、スラッシュダガーを構える。 おそらくパワーでは圧倒的に向こうに理がある。 受け に徹するのは自滅策と判断、ここはひとつ死なない程度に殺す覚悟で挑むしかない。 「…西園寺、ひとつ聞くぞ」 「なによ?」 「ここに来たのは……本当にオレを潰すためだけか?」 「いえ、違うわ。高見からの情報でね…今ここに“私の知らない”ライダーがいる、だそうよ」 「こんなショボい場所にか?」 「そーよ。あんたじゃないのは確かだし、今もここにいるかもしれないけど…今はあんたが私の相手。 分かってるわね?あんたがどう思おうと、戦わなきゃ…死ぬわよ」 仮面で顔は見えないが、彼女の覚悟は声だけでも充分伝わってくる。 「分かった…せいぜい死なないように努力するさ」 まぁ、その覚悟も今の自分には関係ないものだがな。
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