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「はぁっ!!」
「のぅわ!!」
ガイの左腕から繰り出された武器もとい鈍器を回避する。
「ふんっ!!」
「よっと!!」
ガキ と武器が交錯、火花が闇に散りばみ消える。
弾かれ、生じた一瞬のスキに間合いを開ける。
「―――っ」
彼女の苦々しげな舌打ちが聞こえる。
そんなに小細工なしの殴り合いがしたいのかこいつは。
「チョコマカするんじゃないわよ!!」
…無理だろ、それ。
などとボヤく暇もなく、一気に間合いを詰める敵に武器を構える。
彼女の武器はアタッチメント型で腕に取り付ける。つまり彼女の攻撃範囲は腕そのものだ。
対してこちらは剣、わずかだがこちらにリーチの理がある。
それは極端な話、彼女の範囲外から攻撃が繰り出せるということだ。
だがそれにはあるリスクが発生する。
ガキィン
「――うぐっ!!」
わずかに反応が遅れかけ、少し焦りが生じる。
武器のリーチは、攻撃のモーションひいては攻撃の初速度に反比例する。
槍は剣より圧倒的な範囲を得るが、同時に振る速度は剣より圧倒的に劣る。
この場合 拳と剣、速度の理は向こうにある。
つまり同時に攻撃を仕掛ければコンマ数秒の差でオレに攻撃が当たり…刹那の差でも負けは負けだ。
最悪、死に至る。
ギィン
懐に入られないようにと、大きく後退し間を置く。
「ホンっとセコい手をつかうわねアンタ。
やる気あんの?」
「…ないに決まってんだろ」
巻き込んどいて勝手な奴だ。
「…へぇ~、そう。それにしては随分な剣さばきじゃない」
彼女からなにかがさぁっと冷めていく感が伝わる。なにか…マズい。
「それじゃ、こんなのはどうかしら?」
彼女はデッキからカードを抜き、肩のバイザーに器用に投げ入れる。
『Confine vent』
その機械音の直後、
「……へ?」
オレの手の、剣を握っていた感覚が空虚と化す。
そこにはもう、先ほどまで握っていた剣はない。
「――んなぁ!!!」
反則だろこれは!
「分かった?こーゆーカードもあるのよ」
カードの戦いという時点で特殊なカードの存在は考慮してたけど、いざやられると納得いかないものがある。
「さて、まだ武器を出す?
止めないわよ、どうせ出す前に…私が倒すんだからね」
その声の直後、彼女は地を蹴る。
ふと、こーゆー状況をなんと言うかを考えた。
ああ、確か
……絶対絶命?
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