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ドン、と地面が鳴り、ガイの鎧が一直線にこちらに牙を向く。
「速ッ――堅くて速いとか反則だろ!」
避ける間もなし、
気づくや否や両腕を広げ脚を沈める。
「せいぃッ!!!」
ゴン と二つの鎧がぶつかり、一瞬息が止まるような衝撃に襲われる。
「捉えた…が、次の手はどうするよ?」
互いに組み合った状況で目の前の相手に言葉を投げ掛ける。
相手の出方を伺うように見えてその実、ただ何の戦略も思い浮かばなかった故の時間稼ぎに過ぎなかった。
「…………」
その時、奇妙な違和感を感じた。
両腕だけで組み合っているガイの上体が、さりげなく下へ下へと沈んでいく。
まるで相手の懐へ潜り込むように……
「――ヤバッ!!」
気付いた時には――
「――ぁぁぁああああああああああ!!!!!!」
眼前の鎧が、敵意を爆発させるような咆哮を上げていた。
地面を踏みしめ、地鳴りを轟かせガイの躰が砲弾のように弾け飛ぶ。
――誓っていい、この時オレは力を緩めてなどいない。
ブン と重力の柵から解き放たれたように躰が宙に浮かぶ。
掬いあげられた、しかも使われたのは純粋なパワーのみである。
「食らいなさい…!!!」
天を穿つような一撃、
――これは駄目だな。
地面を仰ぎながら、無重力の不便さを知る。
同時に……
――ガン
「――ッア」
声とも呼べない嗚咽と共に、自分の躰が吹き飛ぶ感覚を感じた。
天を仰いだのが一瞬、
地面に叩きつけられたのも一瞬、
コンクリートを粉砕し、派手に火花を散らしながら地面を転がる。
そして、数瞬間をおいて――ソイツは現れる。
「ぐぅ――ぁッ!!」
痛み。
電撃を流されたかのような信号の悲鳴。
虚脱。
意識を奪い去る脳の誤作動が視界を歪ませ、正常な認識を奪い去る。
疲労しきった身体が、理論のみで構築された肉体が、宿主の抵抗を阻害する。
まともには動ける。だがそれだけの話だ。
スピードもパワーもスタミナも半分以下にまで低下し、勝算もクソもあったものではない。
「終わりね。もうあなたの勝ちはないわ」
地面に伏す敵を睨みながらガイは歩みを進める。
「素直に負けを認めなさい。そうすれば――」
彼女の言葉が、ボヤけた頭の中に刻まれる。
そして――その時、彼女ははっきりと…
「もうあなた…死んじゃうわよ?」
はっきりと、そう言った
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