序章『哀しきヴィーナス』

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少女が立ち去る、数時間前…‥ 第三魔導研究所。 「諸君‼我々は遂に偉大なる瞬間に立ち会う事となる‼」 四、五十人の研究員を前に初老の男が演説をしていた。 男の名は高宮 栄二。この研究所の所長である。 高宮は後ろにある、円形状のカプセルを指差し演説を続ける。 「我々の研究は完成したっ❗そして、我々は地位を手にするのだ‼」 高宮がそう言うと、研究員は歓喜の声をあげた。 彼らの言う地位とは『魔』の世界からの約束の品。 この研究所は『魔』と手をくみ、研究を進めていた。 政府への反逆と知りながら…‥ 研究所は喜びに包まれ、お互いを誉め合っている。 その時だった。一人の研究員が異常を感知した。 「所長❗大変ですっ‼」 研究員は真っ青な顔をして高宮を呼んだ。 「何だ?せっかく、いい気分なのに…‥。」 高宮は不満そうに研究員の傍に行く。 そこで高宮は研究員が見ていた計器を見て、顔の色を変えた。 「バッ…‥馬鹿なっ‼」 その言葉に場は静まり返る。 次の瞬間、警報が研究所に鳴り響く。 「全員ッ❗直ちに退去しろ‼」 高宮は叫んだ、研究所に轟く位の大声で。 その時、最初に気付いた研究員が呟いた。 「もう…‥無理です…。」高宮は振り返る。 その瞬間、研究所は轟音と共に消し飛んだ。
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