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出てきた男は岬 冬吾。
俺の同期でその金髪碧眼で童顔の岬は影で『キラーフェイス』と呼ばれる程、女性に人気がある。
しかし、俺は嫌いだ。
俺の視線に気付いた、岬はこっちを向き。
「何、ジロジロ見てんだ…馬鹿シン。」
と軽いのを一発。
コイツは口が悪いのだ、絶望的に。
しかも、癇に障る。
「見てたら悪いのか…?」売り言葉に買い言葉、必ず買う方も悪いのだが…‥。
「ああ、悪い。お前を見ると気分が悪くなる。」
シレッと出てくる言葉に少しカチンッときた。
「そうかい、俺もお前を見ると吐き気がするよ。」
「初めて意見が合ったな。」
岬はそう返した。
一瞬の静寂の後、場の空気が一気に悪くなる。
俺の心の中でゴングが鳴った気がした。
二人とも拳を握る。
その時、岬が逸見さんに気づく。
逸見さんは「よっ」と岬に挨拶した。
「逸見さん、居たんですか。」
岬の問いに「随分と前から。」と笑って答える。
岬は握っていた拳を解いて、逸見の手を握り。
「逸見さん、仕事が入りましたんで、一緒に来てください❗」
と言い、逸見を引っ張ってった。遠くの方で「報告して無いのに~⁉」と逸見の声が聞こえる。
俺はただ、呆然とその光景を見つめ、やり場の無くなった拳を解いて課長室に入った。
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