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ここはさまざまな絵や美術品が置いてある美術館だ。
時計はまもなく零時を指そうとしている。普段なら物音ひとつしない時間なのだが、その日はいつもと違いたくさんの人影が見える。
「警部、まもなく時間です」
「うむ」
部下の報告を聞き辺りを見回す。そして、その時がきた・・・
「ごくろうさまです。いつも大変ですな警部殿」
その場にいる全員が声のする方を見る。
そこには男が一人立っていた。
シルクハットにタキシード。そして、黒いマント。その姿はまるで小説や漫画に出てくる怪盗だった。
「動くなっ!」
警部は拳銃をむける。
「今夜、零時に九重美術館にて『七色の涙』を頂戴しに参上する―いつも大変なのはお互いさまだろ。」
警部は男を睨みつけさらに言葉を続ける。
「警備の数を少なくしておいたから、侵入しやすかったろ?だが、すでにこの建物は警官と機動隊で完全に包囲されているぞ!逃げ場はない諦めろ」
怪盗は警部の言葉を無視しガラスケースに手を触れる。
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