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吹き付ける風が冷たい季節。
時間はちょうど深夜を回ったころだった。
「さむいですぅ~」
暗くなった町に少女の声が響く。
深夜に出歩く人はたまにいるから別に異常なことではないのだが・・・その容姿はふつうの住宅外では不思議なな格好であった。
なぜなら、その少女はおとぎ話にでもでてきそうなお姫様なドレスを着た銀髪の少女だったからだ。
「ホテルから抜け出せたところまでは良かったのですが・・・」
ぐぅとお腹の虫が空腹を知らせる。
「だいたいっ!婚約、婚約とうるさいからお父様は嫌なんですっ」
どうやら、親とケンカをしてお姫様は飛び出してきたらしい。
「まあ、怒っていても仕方がありませんね。とにかく今のこの状況を乗り切らなくては」
そして、目の前の道端にはダンボールが置いてあった。
「これは・・・っ!」
お姫様はどこからか取り出したマジックでダンボールに文字を書き始める。
~おとなしいお姫様です。拾ってください~
とダンボールの横に文字を書いて、その中に入る。
よしっ!これであとは待つだけです。
お姫様はとりあえず人が通るのを待つことにした。
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