第1章 我輩はネコである

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      「……ま、しょーがねーんじゃねーのぉ?」     そんな俺の身を焦がすほどの切ない葛藤を、そいつはただの一言で終わらせやがった。 手鏡で自分の髪をチェックしながら。 青・赤・黄の3色マダラに染めて短めに刈り上げた髪型。 おまけにサングラスとピアス。 首から下の学生服のほうが間違いなんじゃないかと思ってしまう。 いくらこの学校が自由な校風だからって、ここまでの風速を出してる奴はなかなかいない。 絵に描いたようなイージーゴーイング野郎。   まぁ……そんな奴だからけっこう気軽に話せるって点もあったりするんだが。 校門までたどり着いた俺は、いつものごとくそこでこいつと合流する事になった。 まるで改札を思わせるゲートに向かって、奴が学生証をかざす。 ピッという音と共にゲートのランプが青点灯し、ゲートが開いた。 その学生証に書いてあった名前は―― 海老塚 大飛 えびづか ひろと と読む。 こいつの名前だ。 名は体を現すって言葉があるけれど……正直こいつの親もここまでこの男がぶっ飛んだ成長を見せるとは思ってなかったに違いない。   この外見で俺と同い年とか……どうなんだろう。  
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