始まり

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「ふふっ、また一段と強くなったようだね、ハルナ」   父親は微笑みながらめり込んだ壁から離れ、玉座に座り、自分の傷を救急箱の道具で治療をする。   「私としては、龍王としての紫・藤蛇の振る舞い接触を望むのだが」   ハルナは不機嫌そうに腕を組み、藤蛇を見る。   「私は親としての紫・藤蛇の振る舞いが好きなのだがね」   藤蛇は救急箱をしまい、そう言った。   この親父はいつもいつも、私を見るなり、豹変してぇ……。 と、ハルナは怒りの思いを抑えながら、   「それで、今回は何の用なのだ?」   ハルナは腕を組んだまま、藤蛇を見る。   「ハルナには、依頼があるのだよ」   藤蛇は玉座を立ち、ハルナを優しく見つめる。   「依頼?」   ハルナは首を傾げて聞く。
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