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――楽しいはずの学校だったんだ。それなのに……何故?
今、俺は狂った学校の校門前に一人立っていた。今までどうやってここにきたのか、何のためにここにいるのか思い出せず、とても不安な気持ちを抱えていた。
引き寄せられるように校門をくぐり抜けると、そこは変わり果てた自分の学校だった。
「おい……嘘だろ」と思わず呟くのだが、自分のその声に思わずドキリとしてしまう。
校舎の中を少し歩き、あちこちの扉を片っ端から開けてみようとするのだが、鍵がかかっているのかどこも開かない。しょうがなく職員室の窓を叩き割って侵入したのだが、そこに一人の少年が倒れていた。
「おい、お前大丈夫か」
少年は俺の呼びかけに意識を取り戻し、ゆっくりと起き上がった。
「痛ってえ……ここはどこ?」
少年は、まだ意識が朦朧としているのか、定まらない視線が宙をさ迷い、やがて目の前にいる俺の存在に気づく。
「大丈夫か? 自分の名前言えるか」
と、俺は少年に問い掛ける。
「うん、どうやら大丈夫……みたいだね。僕の名前は園田圭一だよ。あなたは?」
と少年は言った。
「俺は安藤裕介。この学校の生徒だ。他の生徒や先生達はどこに――」
と、俺が言ったその時。
割れて枠組みだけになった職員室の窓から、唸り声を上げる黒い何かが走り抜けて行くのが、一瞬だけ視界の端に見えてしまった。
――あれは一体、何なんだ……。
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