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俺は彼女の手を放しデスと反対の方向に逃げようとした。
だが、そこには立ち塞がる白い骨の甲殻のデスがいた。
高速で動き周りこんだらしい。
「……ああぁ………」
絶句して言葉が出ずに金魚のように口をパクパクする。
デスは槍状の腕を振り上げた。
俺は死を悟り、頭の中で走馬灯が駆け巡る。
家族との思い出、学校での友達との会話、たくさんの人と笑い合った日々が思い出され涙が出た。
死にたくない
そう思った。
やりたいことややり残したこと、伝えなければならないこと、たくさんあるのに俺の人生はここで終わる。
ついさっきまで俺の未来は水平線の向こうまで続いていたのに……。
そしてとうとうデスの腕は降り下ろされた。
俺は目を瞑った。
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