第1章 崩れ去る日常

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目の前には火がある。 なぜか火を見ているとなんだか体がさっきより熱くなってきた。 ユラユラと揺らめく炎に魅せられたように目が離せない。 「……綺麗だ……」 そんな言葉がいつの間にか溢れる。 誘うように揺れ光る火に吸い込まれそうになる。 ドクンッ ドクンッ 鼓動が速くなり止められない。 紅く輝きを放つ焔がとてもいとおしい。 この炎がもっと赤く大きくなればいい。 全てを深紅に包み込んでしまえばいい。 俺は無意識に輝く火に手を伸ばした。
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