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「あ~あ、今日は駅から歩いて帰らなきゃいかん。暗いから嫌だなぁ…」
外を眺めながらそんな風に何度も呟いていたら
「あのっ…」
涼が突然口を開いた。
私が涼に視線を向けると涼は俯きながら何かを言いたそうにしてたから、『もしかして…』と淡い期待を持ちながら、涼の言葉を待った。
「もし良かったら、もし良かったらですけど、俺のせいで先輩の帰りが遅くなっちゃったんで送って行きましょうか…? あ、嫌だったらいいんですっ」
彼のとても緊張している姿が何だかおかしくて私は思わず笑みを零した。
「いいの?」
私がそう言うと、
「ハイっ、先輩は良ければですけど」
自分から誘って来たのに消極的というか控え目というか本当に面白い子だな。
「じゃあ、お願いしようかな?」
「ハイっ」
こうして涼と私は知り合って約一週間ほどで一緒に帰ることになった。
この時からなんとなく気付いてた。
彼が私に気があること。
でも、この様子じゃたとえ私のことを好きだったとしてもなかなか言ってこなさそうだなと私は思った。
一緒に帰ることになった私達は美合駅から一緒に電車に乗り、2人の最寄り駅の東岡崎駅で降りた。
そこで、私たちの家はそんなに離れてないことが分かった。
私たちは家に着くまで他愛のない話をしながら歩いた。
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