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ああ、くそったれ! やっちまった。とうとうやっちまった!
男は寝ぐせが付いてぼさぼさになった髪の毛を手でガシガシとかき乱しながら、乗ってきた乗用車、オデッセイの運転席で後悔に身を悶えさせていた。
灼熱する太陽がじりじりと車内の温度を上昇させ、篭った熱気が更に男をじりじりと追い詰めていく。
先月、浮いた金で即購入した皮製の高級ハンドルカバーに男の汗が一つ、二つと垂れ。
尚も男は頭をぶんぶんと横に振り、汗を車内に巻き散らかすと、広げた財布の中身を指で押し広げた。
残金、二千、五百二十五円。これが今の男の財産であり、世界でありそして――。
――男は既に借金地獄へ足を踏み入れていた。
「ギャンブルは必ず身を滅ぼす」
何度友達に言われたかわからないその言葉を頭の中で反芻させる。なるほど、確かにあいつの言う通りだったようだ。
一度の大勝で調子に乗ってしまった事が悪かったのか、数回の勝ちの後には必ず、大きな敗北が待っている。
パチンコ、パチスロ。
元々こう言った公共ギャンブルは最終的に胴元が必ず勝つ仕組みになっているのだ。一度はまれば後は破産、借金、すなわち負け組である。そして、男もまた同じく負け組であった。
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